SaaS ビジネスモデル 紹介:スパイダープラス -建築積算システム

スパイダープラス株式会社は、建設業界における現場作業の負担増や煩雑な事務管理を解決するべくSaaS「スパイダープラス」を提供する企業です。

2000年に設立してから「スパイダープラス」の導入社数は1,000社を突破しました。

2021年11月にはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス提供を本格的に強化することを発表しており、今後も成長が期待される企業です。

この記事では、スパイダープラス株式会社についての会社基本情報、役員情報、ビジネスモデルを含めた事業概要をお伝えします。

同社または建設テックについてご興味の有る方は、ぜひ一読ください。

(※本記事は、執筆時点の情報になります。

会社基本情報(2021年11月時点の情報)

出典元:https://spiderplus.co.jp/

  • 会社名:スパイダープラス株式会社
  • 売上高:1,973(百万)円(2020年12月 時点)
  • 資金調達金額:100(百万)円(2020年12月 時点)
  • 本社所在地:東京都豊島区東池袋1丁目12番5号 東京信用金庫本店ビル 7階
  • 設立年月日:2000年2月
  • スローガン:すべての創造を、仲間と共に

事業概要

出典元:https://spider-plus.com/

事業概要サマリー/ビジネスモデル

建設業向けにSaaS「スパイダープラス」を提供しています。

「スパイダープラス」は建設業を主な対象とした建築画面・現場管理アプリで、利用ユーザーの業務効率化に大きく貢献しているサービスです。

この「スパイダープラス」を利用するためのアカウントを提供し、そのアカウント使用料金を収入源としています。

アカウント使用料金の内訳は、1アカウントにつき月額3,000円、初期費用に約4万円、他にサーバー使用料やオプション機能使用料などとなっています。

ユーザー・メリット

ユーザー・ペイン

建設業界における見積作成は非常に大変な作業で、大きな現場だと図面は100枚を超える事もあるのですが、1枚積算するのに3~4時間かかる事もあります。

受注できるかどうか分からない作業に膨大な時間をかけなければいけない状況でした。

また、受注後も作業管理のために膨大な枚数の工事現場の写真の撮影が必要です。

それを事務所に持ち帰ってパソコンに落とし込み、整理して施工主などへ報告書を作成するため、大変な工数がかかっていました。

ユーザー・ペインの背景

世の中では情報革命が騒がれている一方で、建築業界ではなかなかクラウドを導入する機運が高まらず、手書きによる作業が残ったままでした。

そのため業務効率化の余地がある状態でした。

ようやく最近になって働き方改革が建設業界にも浸透し始めてきていますが、まだまだ改善余地が多く残っている実情があります。

ユーザー・ペインの解決方法

スパイダープラス株式会社は「現場の管理を楽にしたい」という想いから、建設・メンテナンス業向け図面・現場管理アプリ「スパイダープラス」の提供を始めました。

例えば、これまでは大きな図面に色鉛筆でたくさん線を引くようなアナログで積算作業を実施していました。

これがデジタル図面を利用した簡単な編集作業が可能になった事により、1カ月かかるものが数時間程度まで短縮した事例があります。

受注後も複数社が出入りするような大型現場において、図面データを土台にして現場の様々な情報を紐づけて共有できる事により効率的な業務が可能となります。

このように「スパイダープラス」はペーパーレス化に有益なツールで、現場の記録や報告作業といった事務作業の負担を大幅に軽減します。

ユーザー・メリット

それでは、運用するユーザーにどのようなメリットがあるか見ていきましょう。

まず見積作業において、手書きで作成していた図面をサーバーに入れてデジタル化することで、作業時間を10分の1に短縮する事ができるようになりました。

また受注後の作業管理においては、ユーザーが現場に持っていくのはタブレットのみです。

クラウドにより図面や進捗状況を画面で確認できるので、会社や事務所メンバーと簡単に進捗や情報の共有が可能となり、業務効率化に大きく貢献できます。

これまでは、1つの工事で膨大な図面が使われている場合、必要な図面をピックアップして現場に持っていくのが通常でした。

しかし、必要な図面が手元にない場合、事務所に戻ってまた現場に持っていく必要があり、多くの工数を費やしていたのです。

デジタル図面に写真の貼り付けや検索記録も簡単にできるため、これまで事務所でおこなっていた事務作業も現場で完結する事が可能となりました。

その結果、月に数十時間もの労働時間削減効果を得る事ができるのです。

競合との差異・強みまたはサービスの特徴

「スパイダープラス」は標準機能である図面管理の他、ユーザー企業の要望に応えて作られた多数のオプション機能を揃えている点も特徴のひとつです。

また、スパイダープラス株式会社は施工(熱絶縁工事)も実施しているので現場視点も持ち合わせています。

その特殊性を活用して現場発の改善案を積極的に取り入れることにより、さらに利用価値の高いシステムを構築しています。

つまり、「現場をわかっていること」が差別化となりスパイダー株式会社の大きな強みとなっています。

成長性

「スパイダープラス」導入後のフォロー体制を重視しており、利用者向けのカスタマーサポートを専任で置いて迅速に対応できる体制を構築しました。

さらに基本機能や使い方をレクチャーする勉強会を定期的に開催し、ツールを使い続けてもらうための施策をとっています。

単に導入するだけではなく、アフターフォローがしっかりしているため契約の解除率が1~2%と非常に低く、更なるシェアの拡大が期待されています。

また、2021年3月には東証マザーズに上場し、2021年上半期国内スタートアップIPO初値時価総額ランキングでは548億円と4位につけており、市場からの期待も大きいです。

「スパイダープラス」はオールインワンで済む働き方を実現した一方、その外側にある段取り削減に課題を感じていました。

そこで、AI inside が提供する専門知識がなくてもAI開発ができる「Learning Center」を採用しました。

この採用により、今後はAI開発や運用を内製化してBPOサービスを本格強化することを発表しています。

BPO導入のメリットは以下の2 つがあります。

業務フローの可視化・標準化を図り、1人当たりの業務量削減できる」

「業務をセンター化し、1か所に集めることによって、業務の効率化できる」

以上のように企業の人材不足や働き方改革、DX推進の影響により、BPO市場は今後も成長する見込みとなっております。

実績

「スパイダープラス」の契約社数は全国で1,000社を超え、ユーザーは42,000人を数えます。

1年以上利用しているユーザーの42.7%が1ヶ月で20時間以上の業務時間の削減に成功しました。

現場監督の残業時間が月間約50時間に及んでいた電気設備工事業者では、「スパイダープラス」を導入したことで月100時間近くの業務時間削減に至った事例もあります。

建築業界のリーディングカンパニーと呼ばれる企業も利用しており、また、電気工事や空調衛生設備工事などの業種からも高い支持を得ているツールです。

将来計画や展望

自社プロダクトである「スパイダープラス」で、国内の建設テック市場において圧倒的なシェアを獲ることが現在の一番の目標としています。

また、グローバルへの展開も視野にいれています。東南アジアでは建設テックブームはこれから始まると予測してシェア拡大を目指していきます。

さらには、紙や図面を使う業界へ積極的に入っていこうと考えています。

電鉄などの交通インフラ系や道路の保守・メンテナンスへの展開も可能で、実際にそういった案件も動き始めています。

「スパイダープラス」にアレンジを加え小売店などチェーン店を持つ業界の進出も検討しており、建設テックを超えて他業界へも積極的に拡大する未来図を描いています。

創立者・代表者基本情報

出典元:https://spiderplus.co.jp/about-us/message/

創立者・代表者基本情報

代表取締役 CEO 伊藤 謙自

1973年生まれ。北海道紋別市で育つ。高校卒業後に上京し建設資材商社営業、熱絶縁工事の施工管理を経て、1997年に伊藤工業を創業。

建設業界のIT化の遅れを自ら体感し、タブレット登場とともに建設業をターゲットにしたIT事業を開始。

建設現場の目線を常に忘れず、プロダクトづくりでは「俺でも分かるように作れ」がモットー。

会社・事業設立のストーリー

1997年9月に個人事業として伊藤工業を創業。

2000年に法人化して同年2月に有限会社ケイ・ファクトリーを設立。2002年2月に「アーマフレックス」を使用した熱絶縁工事の施工を開始。

2010年9月、IT事業を立ち上げるにあたり株式会社ヴェイシスを設立し、「スパイダープラス」の前身である「スパイダー」を開発・販売。

2011年9月に「スパイダープラス」をリリース。2012年6月に株式会社ケイ・ファクトリーが株式会社ヴェイシスを吸収合併し、株式会社レゴリスへ商号変更。

2020年11月、スパイダープラス株式会社へ商号変更。2021年3月、東京証券取引所マザーズに株式を上場。

取締役基本情報(2021年11月時点の情報)

出典元:https://spiderplus.co.jp/about-us/leadership/

CFO

大村 幸寛

公認会計士としてEYにて監査業務に従事した後、転職活動中に「よりチャレンジングな環境で働きたい」とベンチャーマインドを重視する方向に方針転換。

2017年9月、「自分を一番必要としてくれる会社だ」と感じたスパイダープラス株式会社にCFOとして参画。

資金調達をはじめとした財務面を中心に、社内の課題解決を実施。

CRO(Chief Revenue Officer)

石戸 祐輔

建設業界で施工管理技士として現場管理に従事。

その後上場ITベンチャーにて営業職、大手営業コンサルティング企業でITを中心にプロジェクトのコンサルタント、ディレクター業務を経験。

以前より「建設業×ICT」に可能性を感じており、2019年に参画。「スパイダープラス」の事業を統括。

CBO(Chief Branding Officer)

鈴木 雅人

インテリアデザイナーを経て、2010年12月、スパイダープラス入社。当時立ち上がったばかりのIT事業部でアプリケーションデザインに従事。

コーポレートブランディング、デザイン、IRなどを統括。

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