株式会社SmartHRは、人事や労務担当者の多様で煩雑な労務手続きの効率化を実現するべくSaaS「Smart HR」を提供する企業です。
2013年に設立してから「Smart HR」の登録企業社数は30,000社を超え、多くの企業から支持を得ているシステムです。
「HRTechクラウド市場の実態と展望2020年度版」労務管理クラウド分野の出荷金額において、3年連続シェアNo.1を獲得しました。
また、株式会社SmartHRは、日本の「働きやすさ」を前に進めることを目的に、働き方をアップデートした取り組みに焦点を当てるWORK DESIGN AWARDを主催しています。
これは、既存の慣習や目の前の当たり前にとらわれず、働き方をアップデートするため奮闘されている組織や人を応援し続けたいという思いで開催したアワードです。
もちろん株式会社SmartHR自身も常に「働きやすさ」を実現するために貢献しています。
「Smart HR」に蓄積された従業員データを活用した「人事評価」や「従業員サーベイ」など機能により、組織の活性化や組織変革の推進を目指しています。
「Smart HR」の普及、アワードの開催などを通して心地よく働ける社会の実現に貢献しており、今後も注目すべき企業です。
この記事では、株式会社SmartHRについての会社基本情報、役員情報、ビジネスモデルを含めた事業概要をお伝えします。
同社またはSaaS企業についてご興味の有る方は、ぜひ一読ください。
(※本記事は、執筆時点の情報になります。)
会社基本情報(2022年1月時点の情報)
出典元:https://smarthr.jp/
- 会社名:株式会社SmartHR
- 売上高:不明
- 資金調達金額:9,990万円
- 本社所在地:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー 39F
- 設立年月日:2013年1月23日
- スローガン:テクノロジーと創意工夫で社会構造をハックする
事業概要
出典元:https://smarthr.jp/
事業概要サマリー/ビジネスモデル
株式会社SmartHRは、SaaS形式の人事労務ソフト「Smart HR」を提供しています。
「Smart HR」は、従業員の入退社や社会保険、雇用保険の手続きを効率化するソフトです。
人事や労務管理における大量の事務処理に悩む企業や業界に対して、それらの業務を「Smart HR」によってWeb上で作業することで事務効率化のサポートをしています。
また、経営層や人事、経理担当者の社内業務やコミュニケーションを円滑にするサービスも拡充しており、ぞれぞれの企業にあった活用が可能です。
基本的な利用手順は、社員が労務データを「Smart HR」にオンライン入力することでデータを蓄積し、労務担当者がデータ内容の確認や承認です。
そんな人事労務管理サービスをSaaSとして提供しているのが株式会社SmartHRとなります。
ユーザー・メリット
ユーザー・ペイン
多くの企業では人事や労務業務に大量の紙媒体を用いており、配布・提出業務の効率の悪さや管理・処理業務の属人化という課題を抱えています。
例をあげると、社会保険の手続きでは何枚もの紙を印刷してそれぞれに押印しなければならず、単純作業でありながらも多くの手間を要します。
押印ですから、昨今のテレワーク浸透と相反するように、出社せざるを得ない業務でもあるのです。
また、従業員の名簿管理や更新では、人数文の対応が発生するため、多くの時間を費やさなければならず、非効率な業務となっていました。
さらには労務管理の代表的なものとして年末調整があります。
年末調整では従業員に用紙を配り、記入と捺印をしたものを回収して確認しなければならず、こちらも業務上多くの時間を要していました。
このように人事や労務管理は非常に手作業が多く、量も膨大であり、昨今の働き方改革とは遠い位置づけでした。
ユーザー・ペインの背景
労務担当者の多くは紙の書類管理が煩雑である事が業務効率が悪い要因であると認識しているようです。
ではなぜ紙の書類管理がいまだに根強く残っているのでしょうか。
企業の実情として紙での取り回しが根強く残っており、デジタル化への賛同が得にくい状況もあるようです。
上記のように社内デジタル化が思うように進まない事も理由の一つにありますが、提出先である役所側の未対応による遅れも要因の一つといえます。
しかし、役所側のデジタル化の推進が行われるにつれ、労務管理の業務効率化を進める企業が増え始めているのも事実です。
ユーザー・ペインの解決方法
株式会社SmartHRは、大量の紙による煩雑な業務に日々追われることなく、効率的かつ働きやすい環境を実現するために「Smart HR」の開発に至りました。
従業員が必要情報を「Smart HR」に直接入力することによりペーパーレス化が実現でき、労務管理担当の負担は大幅に軽減されます。
入社手続きや雇用契約も「Smart HR」で管理できますので、スムーズな手続きが可能です。もちろん押印作業も不要です。
また、入力したデータは常に集約して蓄積され、変更時も入力した情報を変更するだけですので、常に最新の従業員情報を一元管理できます。
わざわざ書類から必要な情報を探しだす必要もありません。
蓄積されたデータを活用して年末調整や給与明細などの労務手続きに対応できる様々な機能を用意しており、また外部サービスとの連携も豊富に備えています。
まさに労務担当者の業務効率化に大きく貢献できるSaaSなのです。
ユーザー・メリット
それでは、運用するユーザーにどのようなメリットがあるのでしょうか。
労務担当者が紙を従業員に配布し、記入したものを回収して保管するという非常に手間のかかっていた作業が、「Smart HR」により一元管理が可能となります。
従業員が入力した情報がそのまま蓄積されるので、労務担当者は「SmartHR」にアクセスすればいつでも情報を確認できるのです。
電子申請なので判子を押す必要もありません。押印作業のために出社する必要がなくなり、労務担当者もテレワークが可能になる点も大きなメリットですね。
年末調整は、これまで3週間かかっていた作業が7日で完了できるようになった事例があります。
控除証明書と書類の照らし合わせが画面上でできるなど、煩雑だった作業がかなり簡素化できている事が数字上でも分かりますね。
競合との差異・強みまたはサービスの特徴
「Smart HR」は、3万社以上の導入実績を持つ、労務管理クラウドのシェアNo.1システムです。
それでは「Smart HR」の強みについて確認してみましょう。
「Smart HR」の一番の強みは、外部連携先が豊富であることです。
勤怠管理・採用管理・クラウド給与計算・チャットサービス・評価管理の各領域で主要サービスと連携していて、さらに書類作成・申請につなげることができます。
「Smart HR」をプラットフォームとして、他のアプリケーションを利用するような使い方も可能です。
つまり、既存で利用しているサービスとの親和性が非常に高く、使いやすいSaaSなのです。
また、セキュリティ機能もかなり充実しています。
情報の暗号化や不正アクセスの対策の他に、シングルサインオンや二段階認証、操作ログの閲覧などにより、従業員の情報を厳重に管理できるため安心して利用できます。
さらに、国際標準規格である「ISO 27001(ISMS)」の認証を取得しており、内部統制の整備と監督を行うなど組織的な対策も十分に実施しています。
機能の充実度だけでなくセキュリティ対策も万全であるため、多くの企業から高い評価を得ることにより登録社数が加速度的に増加しているのです。
国内有名企業でも「Smart HR」が数多く導入されているのも納得できますね。
「Smart HR」の料金プランやUI/UXはスタートアップや中小企業にも対応できる使いやすさで、2名以上の小規模事業者からも幅広く導入されています。
他社製品からの乗り換えだけでなく、紙管理、エクセルから初めてシステム化を行う会社にもぴったりのツールです。
なお、「Smart HR」は、30名までの完全無料プランがある、小規模事業者に大変嬉しいシステムです。競合の中でも永久・完全無料のプランは珍しいです。
「外部連携先の豊富さ」「強固なセキュリティ対策」「中小企業向けの完全無料プラン」が「Smart HR」の強みですね。
成長性
SaaS業界の先進企業が多いアメリカには時価総額が数十兆円にのぼる企業が多数存在しますが、株式会社SmartHRも同程度の成長曲線を描いています。
また、この2021年6月にはシリーズDにて約156億円の追加資金調達を行い、さらなる事業成長を見込んでいます。
昨今のコロナ禍の影響下でも株式会社SmartHRの事業は成長を続けています。
「SmartHR」は確かに国内シェアNo.1になりましたが、市場規模のシェアで考えると、まだ1%に達していません。
日本の労働人口約6,000万人に対して、「SmartHR」にはまだ約50万人程の人事データしか登録されていないのです。カバー率でいうと0.8%です。
つまり、「Smart HR」は日本の全労働人口をターゲットとした市場において、まだまだこれから成長していく可能性が十二分にあるということになります。
以前からクラウド化に意欲を示しながらも「今でなくてもよい」というマインドの企業は多数存在します。
それが、リモートワークの普及によって「今すぐクラウド化をしたい」という前向きな姿勢に変わっており、引き合いの数も増加しています。
今は1%程度ですが、加速度としてその数字が跳ね上がっていく事も今後期待されています。
実績
2021年、ITトレンドでユーザーから最もお問い合わせが多かった製品を発表する「ITトレンド年間ランキング」人事システムで1位に輝きました。
2015年11月のサービス開始から2020年11月までの約5年間で、登録企業数が3万社を超えました。
LINEやメルカリといったIT企業から、小売や飲食、医療や自治体など幅広い業界に支持されています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、2021年第2四半期のARR(年間経常収益)は45億円を超え、前年比106.2%増を達成しました。
また、売り上げの割合に関して、2018年5月時点では中小企業(従業員数300人未満)が約6割を占めていました。
2021年5月時点になると、大企業(従業員数300人以上)が約6割強を占め、さまざまな規模の企業への導入が広がっていることが分かります。
以下の代表的な実績をご確認ください。
・DMM.comは、社会保険手続きに係る業務量を3分の1に削減
・書店や雑貨店のヴィレッジヴァンガードは給与明細の封入・配布工数を96%削減
・BPOサービス会社の、りらいあコミュニケーションズは年末調整にまつわる書類を年間で約2万8千枚削減
将来計画や展望
株式会社SmartHRは、「入社式はオンライン化出来たが、入社手続きをオンライン化できていない企業は多い」と現状を指摘しています。
そこで、調達した資金を活用し、業務効率化に加えて企業による「働きたいと思う環境の整備」のための人事・労務情報のデータ活用の推進を目指しています。
ペーパーレス化で溜まる人事データを活用して労働環境を改善していくということに注力しているのです。
働き方改革を推進するにあたり、これまで経験や勘による判断の多かった人事領域で、人事データを活用して事実を客観的に分析する事が重要です。
自社における働き方改革の目的を明確にした上で、その成果を図るKPIを設定・可視化することで、データを見ながら改善する事ができるのです。
まだまだ改善の余地があるバックオフィスの業務効率化は、今後どのような進化を見せるのか、株式会社SmartHRにかかる期待は非常に大きいです。
創立者・代表者基本情報
出典元:https://smarthr.jp/
創立者・代表者基本情報
代表取締役 芹澤 雅人
2011年よりナビゲーションサービスを運営する会社にて、経路探索や交通費精算、動態管理といったサービスを支える大規模な Web API の設計と開発に従事。
2016年2月にSmartHR入社、開発業務のほか VPoE(Vice President of Engineering) としてエンジニアチームのビルディングとマネジメントを行う。
2021年9月以降、D&I推進管掌役員を兼任し、ポリシーの制定や委員会組成、研修等を通じSmartHR社におけるD&Iの推進に尽力する。
2022年1月、代表取締役CEOに就任。
「自分の市場価値を高めるには、“需要と供給”というマーケティング的な発想が必要」と考え、常に自分の市場価値を意識している。
会社・事業設立のストーリー
2013年1月に株式会社KUFU(現:株式会社SmartHR)を設立。当時は新規事業を起こしても上手くいかず、12回もの事業転換を繰り返して2年の時が流れる。
創業者である宮田昇始氏は、自身の体験をもとに社会保険・雇用保険の手続きを自動化するシステム構築を着想。2015年11月にSaaS「SmartHR」を提供開始。
2016年8月には総額約5億円の資金調達を実施し、創業当時3名だったスタッフは20名弱へ。
2017年4月に社名を「KUFU」から「SmartHR」に変更。SaaS「SmartHR」の利用企業は増え続け、リリースから1年半後の2017年6月には5,000社を突破。
2018年2月には「SmartHR」の利用企業が1万社を突破し、従業員も100名を超える。
2020年には関西支社に続き九州、東海にも拠点を開設。2021年、シリーズDラウンドで海外投資家などから約156億円を調達し、累計調達額は約238億円となる。
2021年5月時点で従業員は400名を超え、2022年1月、次のステージを見据えて代表取締役に芹澤雅人氏が就任。
取締役基本情報(2022年1月時点の情報)
出典元:https://smarthr.jp/
CFO
玉木 諒
京都大学文学部卒業。 公認会計士。
2007年よりあらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)にて上場企業や外資系企業の法定監査業務に従事。
その後、山田ビジネスコンサルティングにて国内企業の事業再生コンサルティング業務、サムライインキュベートにてスタートアップ投資及びファンド管理業務を経験。
2017年より株式会社SmartHRに入社し、2018年1月より現職。
SPVを活用したシリーズBラウンド、海外投資家を含めたシリーズCラウンド、シリーズDラウンドなど資金調達を実行する。
自分の専門性や向き不向きを十分に理解し、ステイクホルダーとの良好な関係性が作り出せれば、自分なりのCFO像を作り出せるとアドバイスしている。
COO
倉橋 隆文
東京大学理学系研究科卒業。
2008年マッキンゼー&カンパニーにて大手クライアントの経営課題解決に従事。 その後ハーバード・ビジネススクールにてMBAを取得。
2012年より楽天株式会社にて社長室や海外子会社社長を務め、事業成長を推進。2017年7月、株式会社SmartHRに参画し現職に就任。
短期の急成長を狙いつつ来年、再来年5年後の成長を犠牲にしない、まさに理想的なスピードで事業を成長させることがCOOの役割であると考えている。
VP of Product Design
宮原 功治
イベントオーガナイザー経験後、音楽スタートアップを共同創業しデザイン責任者を務める。
2016年以降、プロダクトデザイナーとして複数社のプロダクトデザインを請け負い、その後freee株式会社でサービス開発とデザインシステムの立ち上げに従事。
2019年6月に株式会社SmartHRへ入社後、プロダクトデザイングループの立ち上げと、コンポーネントライブラリ「SmartHR UI」のリニューアルを主導。
2021年1月、執行役員 兼 VP of Product Designに就任。現在はメンバーの活躍支援や環境整備も担う。
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